

アスベスト屋根とは?
アスベスト屋根は、アスベスト(石綿)を含む建材を使用している屋根のことです。アスベストは、かつてはその耐熱性、耐久性、断熱性、耐腐食性に優れていることから、建材として非常に広く利用されていました。アスベスト屋根は、主に以下の特徴があります。
- 耐久性と耐熱性: アスベストは耐久性に優れ、高温に強く、火災時の安全性が高いとされていました。
- 安価で加工しやすい: アスベストは軽量で、成形が簡単だったため、大量に生産・使用されました。
- 断熱性: アスベストは熱を伝えにくく、断熱性に優れた特性を持っています。
しかし、アスベストは吸入すると肺に深刻な影響を及ぼすことが知られています。特に長期間にわたる曝露が原因で、肺がんや中皮腫、アスベスト関連疾患を引き起こすことがあるため、使用が禁止されています。日本では2004年にアスベストの製造・使用が全面的に禁止されました。
ノンアスベスト屋根とは?
ノンアスベスト屋根は、アスベストを含まない材料を使用している屋根のことです。アスベスト規制後、建築業界ではノンアスベスト材の導入が進みました。ノンアスベスト屋根は、アスベストを使用していないため、健康リスクが低いという大きな利点があります。その反面耐久性に問題があり、導入直後のノンアスベスト屋根は10年前後で寿命を迎えるものがほとんどです。
ノンアスベストの屋根材はすでに販売中止になっていますが、現在もノンアスベストの屋根材を使用している住宅は少なくありません。
1996年〜2008年の間に「家を建てた」「屋根を葺き替えた」という人は注意が必要です。
以下は代表的なノンアスベストの屋根材です。
- コロニアルNEO
発売:2001〜2003年販売中止、新製品として改良
コロニアルNEOは、クボタ株式会社(現ケイミュー株式会社)が2001年に販売したスレート屋根材です。2003年の劣化発覚後は改良に着手。現在は改良された「コロニアル・グラッサ」「コロニアル・クァッド」等が後継品として販売されています。
劣化症状:施工後8~10年で、ひび割れや欠け、変色が発生してくる - パミール屋根
発売:1996年発売〜2008年販売中止
パミール屋根は、外装建材メーカー・ニチハが1996年に発売したスレート屋根材。ノンアスベスト屋根への切り替え初期の商品です。
劣化症状:施工後8〜10年で劣化が顕著になります。もっとも目立つのが「剥がれ」。先端からパリパリとミルフィーユ状に剥がれていきます。剥がれる前段階になると、屋根の先端が白く変色します。そのほか、屋根のズレや脱落も考えられます。 - セキスイかわらU
発売:1990年発売〜2013年販売中止
セキスイかわらUは、積水化学工業株式会社が1990年に発売した瓦。ノンアスベスト屋根の先駆けの商品です。瓦はもともと塗り替えができないため、劣化の発覚が遅れました。
劣化の症状:10年前後でひび割れや剥離、変色、上に乗っただけで簡単に割れてしまうなどの症状が見られます。
アスベスト屋根とノンアスベスト屋根の違い
- 健康リスク:
- アスベスト屋根: アスベストは肺に深刻な影響を及ぼす可能性があり、長期間曝露されることで健康被害が生じます。
- ノンアスベスト屋根: アスベストを含んでいないため、健康リスクはほぼありません。
- 耐久性:
- アスベスト屋根: 非常に耐久性があり、適切に維持管理すれば長期間使用できますが、劣化した場合はアスベストが飛散する危険があります。
- ノンアスベスト屋根: 耐久性が非常に低く、築7年〜8年程度で、ひび割れや欠損、塗膜剥離などの劣化症状を引き起こしてしまう屋根材です。
- 施工と維持管理:
- アスベスト屋根: 施工や撤去時にアスベストが飛散しないよう、専門の業者による慎重な取り扱いが必要です。
- ノンアスベスト屋根: 屋根材自体の耐久性が低いため、塗装でのメンテナンスは意味がありません。ノンアスベストの屋根は割れや欠けが生じやすい屋根であり、屋根塗装中に屋根を踏み割ってしまう恐れがあります。
アスベストorノンアスベストを見分けるポイント
- 屋根材の見た目で判断
アスベスト屋根とノンアスベスト屋根は、見た目で多少の違いがあることがありますが、必ずしも一目で区別できるわけではありません。以下の特徴を参考にできます。
アスベスト屋根(特に古いスレート屋根やセメント製の屋根)は、表面が粗い質感で、白っぽい色合い(灰色や青白い色)が特徴的です。また、長年使用されているアスベスト屋根は、割れやひびが入りやすいことがあります。
ノンアスベスト屋根は、近年の製品では表面が比較的滑らかで、色が均一であることが多いです。また、セメント系のノンアスベスト屋根は色が鮮やかだったり、金属屋根の場合は光沢感があり、より軽やかな印象を与えることがあります。 - 屋根材の年式を調べる
アスベストを含む屋根材が使用されていたのは、1980年代以前の日本の建物が多いです。アスベストが使用されたのは主に1970年代から2004年の間です。1990年代以降に建てられた建物はノンアスベスト屋根が使われることがほとんどです。ですので、屋根が古ければアスベストの可能性が高くなります。 - 材料の断面を確認する
屋根材を少し削ってみて、断面を確認する方法もあります。アスベストを含んだ屋根材は、セメントの中に微細な繊維が含まれており、非常に細かい繊維が見えることがあります。一方、ノンアスベスト屋根はこのような繊維が見られません。
注意:この方法はアスベストの微細な繊維を直接目で見分けることはできないため、自己判断では避けることをおすすめします。アスベスト粉塵が飛散する危険があるため、専門家による取り扱いが必要です。 - 専門家による検査
最も確実な方法は、専門業者による検査です。アスベストの存在を調べるために、屋根材のサンプルを採取して検査機関に送ることができます。専門的な設備と技術を持つ業者が検査を行い、アスベストが含まれているかどうかを正確に判定できます。 - 屋根材の種類や製造業者を確認する
屋根材の種類や製造業者がわかる場合、その製品がアスベストを使用しているかどうかを調べることができます。製造業者に問い合わせたり、製品のカタログや設計書を調べることで、アスベストを含んでいるかを知ることができる場合があります。
アスベスト屋根とノンアスベスト屋根のメンテナンス方法
- アスベスト屋根
屋根材としてスレートなどに使用されているアスベストはセメントに混ぜ込まれて固定されているため、飛散しにくいとされています。破砕や極端な劣化がない限り、飛散する可能性はありません。
屋根材の損傷が軽度であるという場合はアスベスト含有屋根材でも塗装が可能です。
ただ、アスベスト含有屋根材は使用が開始されてから20年以上が経過していると考えられます。ということは既に寿命が近い可能性が高く、耐久性の限界を迎えているという場合には塗装が難しいです。 - ノンアスベスト屋根
ノンアスベスト屋根のリフォーム方法は、屋根葺き替えもしくは屋根カバー工法です。
point:現地調査の際に、業者が屋根に登り破損させてしまうというケースも発生してます。アスベスト含有について知識のない施工業者もいるので、安易に屋根に登ることを許可しないよう注意が必要です。
葺き替え:今ある屋根を取り外し、新しい屋根を設置します。
カバー工法:古い屋根の上に、新しい屋根をかぶせる工法です。古い屋根を解体する必要がないため、費用と工期を抑えることができます。
30年近く現在の建物にお住まいになる予定の人は、葺き替え工事を選択してください。
20年程度の屋根機能の維持を期待されている人は、カバー工法で屋根をリフォームしてください。


塗装処理されているノンアスベスト屋根
結論
アスベスト屋根はかつては優れた材料として広く使用されましたが、その健康リスクが判明したため、現在では使用が制限されています。
ノンアスベスト屋根は、アスベストを使用せず、安全性と環境への配慮がなされた屋根材ですが、耐久性の面では様々な問題があります。
まずは自分の家のスレート屋根がどちらに該当するのか、傷みの程度はどのくらいかをプロの目で調査を行い、対策を検討いただくことをおすすめします。
信州ワークスでは、塗装はもちろん屋根の葺き替えやカバー工法にも対応いたします。
屋根の調査は高性能ドローンを使用し、安全にそして細部まで丁寧に実施します。写真や動画で実際の状況を目でご覧いただけるので、お客様に大変好評をいただいています。
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