不登校の子どもがゲーム依存・スマホ依存になった時のアドバイス

ゲームやスマホに依存している不登校の子どもは、多くの場合、生活リズムの乱れがセットになっていることが多いです。

ゲーム、スマホ、パソコンに依存

不規則な生活になり、睡眠のリズムが乱れて昼夜逆転

本記事では、そういった状況になった時、保護者さまがどういう対応をするべきなのか、アドバイスをお伝えしたいと思います。

先に結論を申しますと「一度ゲームを買い与えてハマってしまった場合、抜け出すことは非常に困難で、時間と労力がとてもかかる」ので、すぐには解決できません。(だからこそ、すごく悩ましい問題でもあります……。)

子どもたちがゲームやスマホ依存する原因

依存の原因はゲームが面白いから

大前提として、最近のゲームはとても面白いです。これは、不登校とか関係なく、そもそもネットゲーム全般、とくにマインクラフトなどのヒット作はめちゃくちゃ楽しいため、子どもたちはあっという間にハマってしまいます。

もし、ゲームがつまらないものであれば、子どもは自然とゲームに飽きて辞めてくれるはずですが、そうならないようにゲーム会社(有能な大人たち)が嗜好を凝らして、飽きない製品を次々と開発し続けていることもあり、ゲームを好きになった子どもたちはなかなか辞められない状況が必然的に続きます

また、この時、学校に行かず不登校で、自宅で何のルールもなく、無制限にゲームをやれる環境にあれば、依存は必然といっても良いでしょう。

現実世界の充実感を埋めてしまう最新ゲームの恐ろしい魅力

たとえば、2018年に大ヒットしたゲームの一つに、「マインクラフト(通称、マイクラ)」というゲームがあります。

このゲームは本当によくできていて、ずっと家にいる子どもには魔性のゲームといっても良いくらいです。映像だけ見れば、荒いポリゴンみたいな感じで、いかにも普通のゲームなのですが、じつはかなり自由性の高いゲームになっているのです。

参考までに動画込みで紹介させて頂きますと、

ものすごくディテールにこだわったモノづくりのような経験ができますし、

自分たちで作ったような場所でチーム対チームの対戦もできたりして、

さらにはチームでミッション性を持った遊びなども実現できるのです。

ゲームをあまりやらない大人の方がパッと見ただけでは、「いかにもゲームじゃん。何が面白いの?」と感じるかもしれませんが、実際にプレーしている子どもたちにとっては、彼らの欲望を満たしてくれる仕掛けがたくさんで、もう病みつきになってしまうのです。

たとえば実際にハマっている子どもたちの中には、寝食を忘れて、徹夜でゲームの中の建築業に打ち込んでしまうほど熱中できるゲームシステムになっているのです。(しかも、徹夜は一人でなく、友達と一緒に夜通しで建築したり、なんだかスゴイ世界になっています。)

そして、そういった楽しい時間を(ネットを通しての)ゲーム友達たちと昼夜一緒に過ごすことで、彼らはかけがえのない充実感を得ることになります。

マインクラフトを例にした時のゲームで得られる充実感

・達成感
・仲間意識
・皆で一緒に感情を爆発させられる
・自尊心

⇒本来、これらの欲求は現実社会でのみ満たされるものだったが、これがゲームだけで満たされるようになってしまい、余計に現実社会に戻りたくなくなってしまう。(まるで充実した部活動に所属して活動しているかのような感覚を得られてしまう。)

このように、最近のゲームというのは、昔のゲームのように「終わり」が設定されていないことが多く、また、ネットを介して全国の同じ趣味を持つ人たちと交流しながら取り組むことができるため、学校に行けず、外にコミュニティを持たない不登校・ひきこもりの子にとっては依存する要素しかないのです。

マイクラについて気になった方はこちらも参考に

・マインクラフトってどんなゲーム?初心者・ママもよくわかるMinecraftまとめ
https://ma-ma-ma-me.com/minecraft-how-to

・【特集】『マインクラフト』で子供が得られる5つの学習効果!
https://www.gamespark.jp/article/2016/07/03/67038.html

「現実社会がイヤだからゲーム依存」ではなくて、「そもそもゲームのほうが現実より楽しい」と感じる学生が増えている

ちょっと昔のイメージだと、不登校は現実社会がいやだからゲーム依存するという印象がありましたが、その認識は少しずつ変えていってほしいと思います。

というのも、現実社会がつまらないからゲーム依存なのではなくて、ゲームのほうが現実社会よりも面白すぎるから、現実社会に楽しみを覚えられなくなる学生も増えてきている、という一面があるのです。

なにしろ、趣味のある友達、理解してもらえる友達と一緒に、終わりなきクエストに励み、寝食忘れて、みんなで全力で一緒に取り組むことができるのです。箱根駅伝、ロボコン、鳥人間などにチャレンジしていくような、すごく充実した部活動、ないしはサークル活動。こういった現実社会の楽しみに匹敵する楽しさを、今のゲームは持ちつつあるのです。(すでに持っているといっても良いでしょう。)

結果、2018年には、WHO(世界保健機関)によって「ゲーム依存=日常生活に支障をきたす国際的な疾患」として、ついに病気の認定までされてしまいました。それくらい、最近のゲームの面白さはすさまじいのです

※参考

・WHO、ゲーム依存症を「疾患」認定へ 予防や治療必要
https://www.asahi.com/articles/ASL6K741TL6KULBJ009.html

・どうしてもやめられない……「ゲーム依存症」を精神疾患として認定へ
http://bunshun.jp/articles/-/8045

・ネット依存の中高生93万人…5年で40万人増
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180903-OYTET50005/

・ネット依存 中高生の14% 厚労省推計 5年で倍増の93万人に
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090102000135.html

ゲーム依存から脱却するためのアドバイス

そもそもゲームを無策で買い与えてはいけない

ビーンズでは、子どもたちに無造作・無策でゲームを買い与えてはいけない、と保護者さまにはアドバイスさせて頂いております。

その理由は前述しましたように、ゲームは恐ろしいほどの中毒性を持った娯楽だからです。生半可なルールで止められるような、なまぬるいものではありませんし、子どもの心がしっかりしていれば、ゲーム制限できるといった甘い考えで止まるものでもありません。(なにしろ病気なのです。)

ですので、ゲームを子どもに買い与える時は、「親である自分がきちんと制限をかけないと、まず依存症になってしまうから気をつけなくては……」くらいの危機感・覚悟を持った上で購入するようにしてください。(無策で臨んで「うちの子は大丈夫だろう」は、あまりにも楽観的過ぎます。)

ゲームを買う時は最初にきちんとルールを作ってきちんと制限させる

ゲームを買い与える時は、必ずルールを作り、きちんと厳守させましょう。また、約束を破った時、親がゲーム自体を取り上げられるように知識と権力を持っておくことも大事です。(ゲームのケーブルの抜き方が分からない、などの弱みを見せないようにしてください。)

詳しい手順・方法は以下の記事にまとめていますので、参考にしてください。

ビーンズでもゲーム・スマホ依存の解消は難しい問題

冒頭でも述べましたが、正直なことを申しまして、子どもたちのゲーム依存について、特効薬(即座に解消する方法)はないと、ビーンズでは考えています。

当塾の生徒であれば、ゆっくりと時間をかけて、保護者さまとも話し合い、塾と家庭の両方からのアプローチで少しずつコツコツと改善していくのですが、こういった手段以外に、なかなか効果的な対策は見つかっていないのが本音です。(一度ゲーム依存になった子から、むりやりすべてを没収すれば、生徒は大人への信頼を完全に損なう危険性もあり、また、ゲームの先に唯一の友達がいるなどの事情もあったりで、なかなかデリケートかつ難解な問題なのです。)

仮に、すぐに辞めさせるとすれば、その方法は、「ゲームよりも楽しい現実を用意する」か、「ゲームのない環境(海外留学、田舎体験など)に放り込む」か、「ゲームなんてしていられないくらいの生活の底打ち(現金のヒリつき)」くらいしかありません。ですが、どれも塾側から即座に提供できるものではありません。

ビーンズが現状できることは、子どもたちに少しずつ社会の知識をつけていってもらい、また彼ら自身の強みとなる部分を見つけてもらって、「この分野でがんばって行きたい」と思ってもらえるようにサポートしていくことですが、そこまで指導するには、やはり時間がかかってしまうのが現実です。

ゲーム依存している子のポテンシャルはじつは高い

一方で、先ほどのマイクラを例に挙げると、じつはゲーム依存できる子の集中力はすごいものがあります。なにしろ、ゲームとはいえ、寝食を忘れて、何十時間もかけて、どのように建築するかなど、考えて、行動しているのです。この部分だけを見れば、これは本当にスゴイことです。

これは言い換えると、自分の興味がきちんと将来につながることに向いて、自分自身がその道を頑張ろうと本気で思ったら、凄まじい集中力を発揮できる裏返しでもあります。ですので、保護者の皆様には、いきなりゲームを没収したり、頭ごなしに叱ったりせず、一緒に話し合って、考えていって、彼らのエネルギーを向ける先を正しく導いていってもらえればと思います。(当塾でも、全力でサポートしています!)

まとめ

繰り返しですが、最近のゲームは本当に面白過ぎるため、無策で買い与えてしまうことはとても危険です。放置していて改善されるものでもなく、一方的に後から没収しても、子どもからの信頼を損なってしまいます。

もし買ってあげる時は必ずルールを作り、約束を破った時は、親がルールに則った上できちんと取り上げる力を持っておくことが欠かせませんので、十分に気をつけてから購入するようにしてください。

ゲーム依存は甘えでなくて、病気です。この点を認識して、今一度、お子さまへのゲームの与え方を見直していきましょう。

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